低Na血症(低ナトリウム血症候群)

低Na血症は、電解質異常の中で最も頻度が多い病態です。

低Na血症の有病率は30~42%で、125mEq/L未満の重症の低Na血症も2.6%~7%いるという報告もあります。

【低Na血症の症状】

血清Na濃度135mEq/L未満を低Na血症と言います。

低Na血症の症状は、神経症状が中心で、頭痛、嘔吐、混乱、意識低下がある。重症になると、循環呼吸の障害、嗜眠状態、痙攣、昏睡が生じる。

※血清Na 120mEq/L以上の場合は自覚症状がないことがほとんどである。

症状のない慢性低Na血症でも、歩行の不安定性や注意力低下を認め、転倒の危険因子となることが示されている。

【低Na血症の病態】

①体液量過剰型

水もNaも増えているが、より水が増えている状態。

肝硬変、心不全、腎不全、ネフローゼ症候群などの浮腫を来す疾患で見られる。これらの疾患では、浮腫にも関わらず有効循環血流量が低下するため、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン(RAA)系の更新、ADH分泌の亢進により血清Na濃度は低下します。

治療は水とNaの制限利尿薬の投与で治療する。

②体液量正常型

Na量は正常でも、水が増えたことで低Na血症になる。

・水だけを大量に飲んだ場合(心因性多飲など)

※低張液を1日12リットル摂取すると血清Na濃度が低下します。

・低張の輸液を続けている場合

・抗利尿ホルモン(ADH)が不適切に分泌されて水だけが再吸収されるSIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)

これらの病態では、体液量がやや増加(+10%以内)の低Na血症となります。

治療の基本は、水制限です。

③体液量減少型

本当にNa量が減少した低Na血症です。原因としては、

・利尿薬の使用

・塩類喪失性腎症

・低アルドステロン症

・消化管からの喪失(嘔吐、下痢)

・サードスペースへの喪失(腹膜炎、膵炎、熱傷)

などがあります。

治療はNaの補充になります。

【低Na血症の治療】

低Na血症の治療は、病態を把握して適切な治療を選択すべきですが、中等症~重症の神経症状を伴うような場合には緊急の治療が必要となります。ただし、急速にNaを補正すると浸透圧性脱髄症候群(ODS: osmotic demyelination syndrome) が起きるので、絶対に急速補正は行ってはいけません。

浸透圧性脱髄症候群が起きると、浸透圧変化に敏感である橋に脱髄病変が出現し、初期には無言症、構語障害が生じ、次第に傾眠、情緒障害が出現し、最終的に昏睡に至ります。

中等症~重症の低Na血症の治療では、高張食塩水(3%塩化ナトリウム)を使用してNa補正を行います。この時、ODSを起こさないように、補正速度には細心の注意を払います。低Na血症の補正速度は24時間で10mEq/L未満、48時間では18mEq/L未満とします。通常、血清Na濃度5mEq/L程度の上昇で症状は改善します。

また、3%塩化ナトリウムの持続静注は危険性が高いので、3%塩化ナトリウム150mlの20分以上かけたワンショット投与が勧められています。

【参考文献】

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