低リン血症(低P血症)

研修中、様々な代謝疾患に出会いますが、低P血症は、稀に遭遇します。

あまり馴染みがない病態ですので一度覚えておくと、いざという時に役立ちます。

【低リン血症の定義】

低リン血症は、血清リン濃度2.5mg/lL以下を指す。

※リンの基準値:2.5〜4.5mg/dl

【P(リン)について】

リンは、腸管から吸収され、尿中に排泄される。骨からの出入りは通常平衡に達している。
すなわち、血清P濃度は、主に腎からのリン排泄によって規定されている。
これ以外には、細胞や骨の内外への急速な移動も起こる(Refeeding syndromeなど)。

【病態】

急性の高度の低リン血症(<1.5mg/dl)は、組織の低酸素症を生じ、骨格筋障害(横紋筋融解症、心不全、呼吸筋障害)、溶血、白血球・血小板低下などを引き起こす。また、低リン血症は、精神神経症状(昏迷・昏睡など)、イレウスも引き起こす。慢性低リン血症は、くる病、骨軟化症などを起こす。

【原因】

(1)P摂取不足

食物摂取現症、吸収不良症候群、リン結合性制酸薬(アルミニウムを含む制酸薬)、テオフィリンの大量服用、重度のアルコール依存症

(2)細胞内・骨への移行

糖尿病性ケトアシドーシス、重症熱傷

(3)腎からのリン排泄促進

副甲状腺機能亢進症、PTHrP産生腫瘍、活性型Vit.D3不足(くる病・骨軟化症)、Fanconi症候群

【診断】

診断には、TmP/GFRの低下の有無を確認した上で、
PTH、PTHrPやFGF23の測定が有用。
血清Ca↑:副甲状腺機能亢進症

 血清Ca↓:吸収不良症候群、Vit.D欠乏症(くる病・骨軟化症)、尿細管アシドーシス
【治療】
・病態を理解し、血清リン濃度と血清カルシウム濃度、PTHを目標内に管理することを優先する。

・経口でのリン補充。

・ビタミンD欠乏症には、活性型ビタミンD製剤の投与を行う。

・透析患者における二次性副甲状腺機能亢進症治療ガイドラインによると、

(1)血清P、補正Ca濃度の管理目標
血清P濃度の目標値:3.5〜6.0mg/dL
血清補正Ca濃度の目標値:8.4〜10.0mg/dL

(2)P、Caの管理目標からの治療指針
①血清P濃度、血清補正Ca濃度を管理目標値内に維持することを、
血清PTH濃度を管理目標値内に維持することより優先する。
②血清P濃度と血清補正Ca濃度を指標に治療法を選択する。
③血清P濃度7.0mg/dL以上、あるいは血清補正Ca濃度10.5mg/dL以上では速やかに治療の変更を考慮する。
④高Ca血症では活性型ビタミンDと炭酸カルシウム減量・中止、高P血症ではP吸着薬の増量と活性型ビタミンD減量・中止を図る。
※引用:透析患者における二次性副甲状腺機能亢進症治療ガイドライン

など記載があります。大変勉強になるので一度ぜひ読んでみて下さい。

【参考文献】
・内科学 :矢崎義雄、伊藤 貞嘉, 永井 良三, 長谷川 好規, 水澤 英洋

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